ガンダム30周年でなんか書こうと思ったらもう師走だよ

出崎統について(2/3) 俺出崎編

 映画について俺なりに考えるきっかけのひとつになった体験があった。
 昔、テレビのクイズバラエティ番組で、面白いクイズがあったのだ。
 一分ぐらいのワンシーンを、素人と映画監督が撮って、どっちが監督のものか当てる、というクイズだ。

 (A)は、舞台の紹介(ロングで景色)→役者の紹介(フルショット)→芝居、という流れ。
 (B)は、役者のクローズアップが長くつづき、それからもうひとりの役者にパンして、芝居がはじまる、という流れ。

 さあどっちだ?




 じつは正解は(B)であった。番組のなかの回答者はみんな引っかかっていた。俺も悩んだが見事にしてやられた。
 いいわけするようだが、実際の映像は、(A)は端正であり、(B)はほんとうにヒドかったのである。
 しかし(B)を撮った監督が阪本順治だ、とわかったとき、「げ」となったものである。「ああ、そういうことか」と胸落ちもした。

 クイズで作られた映像に登場した役者は芸人さんであったからだ。芸人のクローズアップだけで画面が保つわけがない。阪本監督は「映画を撮りたければ映画俳優を連れてこいよ」というわけなのだろうと俺は解釈した。

 しかしいまの俺は(A)の端正さを素人のものだとは思っていない。「映像の原則」に忠実なものだろうと考える。テレビドラマをつくっているスタッフのヤラセだったのだろう。
 ここで対立していたのはそう、「映像の原則」か、「映画俳優を連れてこいよ」の対立だ。

 阪本順治のデビュー作は『どついたるねん』。主演は当時素人の赤井英和だ。ここでいう「映画俳優」はだからプロの技術者のことではない。存在感のあるなしであり、もっといえば監督が「惚れ」られる、「信じ」られるかどうかだ。

 富野由悠季とも親交のある金子修介監督のTVドラマ『ホーリーランド』を観ていたら、「なんかもったいなー」と感じることがあった。演じている若い役者たちがすごくキラキラしているのだ。してるのにもかかわらず、金子監督は、そのキラキラを撮ろうとはしないのである。クローズアップ3秒でハイ次カットみたいな映像のメカニズムに忠実すぎて、役者の息吹を撮る気ゼロなのだ。あまりにも「端正」だった。俺には「端正」すぎた。

 俺からみた出崎、「俺出崎」は何者なのか、だいたい描けてきたと思う。

 俺出崎は、男映画のヒトだ。男が男に惚れる、監督が役者に惚れる、信じる、そこからはじまる映画の撮り手だ。押井守とか関係ないにもほどがある。
 俺出崎は、阪本順治と同じ種族だ。断じて金子修介ではない。
 デニス・ホッパーがピーター・フォンダやジャック・ニコルソンを舐めるように撮る、あれだ。あの感じ。そして最後はドキュメンタリっぽくしめる、あの感じ。
 「意識の流れ」と「ドキュメンタリズム」、そして「映画を撮りたければ映画俳優を連れてこいよ」。それが俺出崎。押井守とか関係ないにもほどがある。
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