ガンダム30周年でなんか書こうと思ったらもう師走だよ

Gのなんじゃとて 第16話から第18話 ネタバレあり

 ・第16話「ベルリの戦争」
  ベルリがレイハントン家の王子だと言われ「なんだとてー」と驚くノレド。彼女の口癖だったのかな。
 「なんかの冗談……じゃないみたい」とベルリ。「え」と意外そうなアイーダ。
 「もう少し静かにおやり! 近所迷惑なんだから」と言うフラミニア・カッレ。お屋敷があり敷地が畑になっていてもご近所が近くにあるんですかね。スペースコロニーを表現している?
 「こちらが子供部屋になります」「憶えています」とベルリには記憶がある。「そう……ぜんぜん憶えていませんね」とアイーダ。
 窓から光が射しこみ「この空気は知らないとは言えない気持ちになれます」とアイーダが言う場面もいい。
 「なにかしら」と引出に惹き寄せられるアイーダ。そこにあったものは記憶にひっかかりながらも思い出せなかった写真だった。思わず涙するアイーダ。この一連の流れがいい。涙は自分で拭く。
 「時代は年寄りがつくるものではないのです」と言いきるアイーダはカッコいい。
 「あはは、やっぱり(笑)」「なにがおかしいのです」という場面もいい。欄干に行儀悪くすわったベルリもいいし彼が身を横にかしげる仕草もいい。テーブルの上には飲みものがひとつ、アイーダがひとりでいたところにベルリがきたことをうかがわせる。ブタの蚊取り線香入れも細部のリアリティとして素敵だ。そこに迎えがくる。「姫さま、よろしいですか」「ご心配をおかけして」アイーダがショックを受けていてベルリがそれほどでもなかったことがそこからうかがわせるのもうまい。
 トワサンガについて説明するクンパ。詳しい。詳しいがゆえに「入港許可をとりつけても入港が完了するまでは油断は禁物です」と助言するが「そりゃそうでしょう(当たり前だ)」と返される温度差も面白い。 
 「マスクはあの女には甘いか」とバララの鋭いチェックが入る。しかしあの男は自分のものであると笑う余裕もみせるバララだ。
 「なにすんだ! あたしのヘカテーに!」とMSヘカテーの頭部を蹴られて憤慨するミック・ジャック。地団駄を踏んでいる芝居がコミカルでいい。
 「なんでそんなこともわからんのか?」とロックパイ・ゲティに口づけするマッシュナー・ヒューム。子供扱いされてムッとするロックパイ。寝台のなかまで想像できてしまう場面である。
  地球に降りられたラライヤみたいなのは憎まれるから守らないといけないと言ってどさくさ紛れにリンゴ・ロン・ジャマノッタはラライヤを抱き寄せる。それをモニタ越しにみて「ことのついでに手を出しやがって」と憤るケルベス・ヨー。ほんとだよ!
 トワサンガ本国の守備隊ガヴァン・マグダラは率いるガヴァン隊のMSザックスでベルリG-セルフを取り囲むが撃破されてしまう。その圧倒的な強さに「あの姿、大昔、ガ、ガンダムとかいう……」と怯む場面は萌え……じゃねーよ俺のIME、燃える。
 「殺しはしない。けど今度ぼくらの邪魔をしたら容赦はしない!」と告げるベルリはもちろん独り言を呟いているだけなのだがコックピットのなかの彼は泣きそうでもある。殺意や敵意というより悲痛な表情でそれを言うのがいい味を出している。ベルリもまた平常というわけではなかったのだ。
 「なにがレイハントンだ」と独り吐き捨てるベルリがいい。往年の富野主人公っぽくて懐かしい。恋していたアイーダが実姉と知り、生まれ故郷が宇宙のトワサンガと知り、自分を王子と呼び利用しようとするレジスタンスの存在を知れば、さすがのベルリも屈託を知る。

 ・第17話「アイーダの決断」
 「ラライヤのからだにはかすり傷ひとつつけさせないよ」「ラライヤのからだがどうしたってー?」のやりとりも楽しい。
 アイーダからあとの指揮を任されるケルベス中尉なのだから「リンゴ少尉は中尉の言うことを聞くんですよ」とラライヤに念を押されるのは正しいが「いやーやつが言うことをきけば」と言葉を濁すと「リンゴがきくんです」と駄目だしされてしまう。ここの駄目だしがチャーミングだった。
 「マスクが後見人として出るようだな」「お優しいことで。あやかりものですね」「誰のことを言っているんだ」の気安さがいい。
 「マスク大尉はバララ中尉を兵器として使っている? ……そこまでクールな大尉ではないはず」とマニィ。男女の機微を理解するのはこれからだろう。
 「G-セルフとメガファウナには触らせるな、あれはアメリアのものだ」「おうよ! 出るぞ!」「そのつもりです!」と勢いよく交差して飛び出していくのが気持ちいい。
 ベルリが元家臣ロルッカ・ビスケスとミラジ・バルバロスの態度から、キャピタル・ガード調査部クンパ・ルシータ大佐がトワサンガ人だと直感し、そのままアイーダたちと作戦行動にでる阿吽の呼吸に、「若いレンハントンの後継者……」とフラミニア・カッレが呟く流れも好きである。
 「ラライヤさんは不肖リンゴが守ります」と言ってMSモランの手でにぎにぎし、それにアイーダもにぎにぎと返す芝居もいい。
 各員に役割を与えた後ふと「自分の役割は」と自問するアイーダがいて、体調不良を訴え医師に診てもらうもラライヤが独り立ちして役割がなくなって落ち込んでいるのではと指摘されるノレドがいる、という流れもいい。
 「貴様たちにも!瓦礫掃除を!手伝っていだだく!うおおおお!」と突撃してくるトワサンガMS部隊の迫力に笑ってしまう。いやお掃除は戦争より大事です。
 戦争よりお掃除、ということで真っ先に反応するベルリ。トワサンガ部隊にも一瞬警戒されるがすぐに真意をよみとってもらえる。
 「しまった! 先を越された!」と焦るマスクも、「やるからには負けられん!」と張り切るクリムも、妙に可笑しい。敵味方関係なくがんばる姿に『逆シャア』のクライマックス・シーンを彷彿した。
 「けど私はおばかなばか姫にしかなれない」と自答するアイーダだが、彼女が日に日に指揮官らしくなってきているのは視聴者が知っているだけに、ここはもどかしい、思わず彼女を応援したくなるいい場面だ。
 クンパは再会したロルッカと言い争いになる。地球の軍事技術の急速な高度化を責めるロルッカだが、クンパはレンハントン家の遺児の扱いについて責めたて彼を黙らせる。G-セルフのおかげで私は恋人を失い弟は人殺しをしたとアイーダに責めらていたロルッカは、自身の計画にそうとは知らせずに加担させたクンパの詰問に耐えられない。「自分が捨てた赤児がどこにいたかも知らなかった、争いの火種を揉み消すための行動だったはず、それを旧世紀時代の憎しみ合いそのままに、だいたい専門家の考えることは一直線で……」と言いたてるクンパの迫力と饒舌さは印象に残る。

 ・第18話「三日月に乗れ」
 「ベルリ、疲れてるね」「そうでしょう」とラライヤとノレドに心配されるベルリ。視聴者にはこれといった疲労の描写がないだけに、ふたりの少女がベルリをよくみていることが伝わってくる場面だ。
 ロックパイ・ゲティがMSガイトラッシュでビームマントを試すのだが、それに巻き込まて一機の味方MSが突き飛ばされるのが可笑しい。ロックパイの視野狭窄ぶりと、彼がマッシュナー・ヒュームのお気に入りのために文句のひとつも言われない特殊な立場であることが表現されいているようだ。
 そんな彼だから「YGを壊すんじゃない、捕らえるんだ!」とマッシュナーに叱られることになる。手のかかる年下の恋人である。
 ロックパイは主戦派のガヴァン・マグダラ率いるガヴァン隊を制止する目的も与えられている。同じトワサンガ人がここで二派に分かれられては視聴者にはわかりづらいことこのうえない。話の流れとしてソウナルのはわかるが作品構造としてはどうなんだろうか。
 「なにしろビーナス・グロゥブまでの長距離航行をしようというのだからな」「料金、高いんだ?」「ヘルメス財団の会員になってなけりゃ乗れないの」という軽口の応酬がいい。これだけでだいぶ親しくなっていることがわかる。クレッセント・シップの説明にもなっている。
 ベルリが心配で休息をしろと言いにきたノレドとラライヤ。そこにヘルメットまで特徴的なアダム・スミスが「いつになったらG-セルフを前デッキに移動してくれんですかね」と苛ついたように声をかける。若者三人がサボっているようにみえたのかもしれない。この温度差がいい。
 前デッキの敵MSマックナイフから飛び出した宇宙服をみてノレドはそれがマニィだと直感する。視聴者にはそうとわからせる描写がないにもかかわらず直感するのだからノレドの感度があがっていることを示す場面だ。顔をみているのに場違いなマニィをなかなか認知できなかった前科があるだけに彼女の感度の良さにびっくりする。
 「周りをみたらラライヤがいたんだろ!」と言うリンゴ・ロン・ジャマノッタ。自機MSを敵MSに抑えられ「周囲をもっとみてろ」と女の声で嘲笑されたときの台詞だ。唯性論的な悪態である。けしからん。
 「バララ! 落ち着け」と言ってマスクがMSマックナイフの手でバララ搭乗MSビフロンの頭をポンとする場面は微笑ましい。
 「前をみるモニタですよね。あるはずです」とのんびり作業をするギゼラが面白い。戦闘中でテンパッてるドニエル・トス艦長や前がみえなくて焦る操舵士ステアと対比的だ。
 「あたしの大尉を蹴飛ばしたのは許せないって言ってるんだ!」「蹴飛ばされた男が悪いんだろ!」とミック・ジャックとバララ・ペオール。女同士の戦い。熱い。
 「ならず者ガヴァンは数の暴力!」「マッシュナーのオモチャが!」ロックパイとガヴァン。この戦いには品がない。大義もなく個人的動機もない。
 自分を救けるために禁じ手のミサイルを躊躇なく使うマスクにバララは感激して思わずあふれた涙を拭く。かわいい。
 「111は化けた!」とガヴァン。またもベルリG-セルフに敗退する。悲鳴に似た呟きがうまい。
 敵MSの一機が「クレッセント・シップに近づくのはやめてください。罰があたります!」と必死になっているのが印象的だ。
 「減速しましょう(泣)」「だーめ、ロックパイが命をかけているんだから救ける!」減速しようとする艦長の両頬を、マッシュナーが外した巨大イヤリングを両手に持ってぐりぐりするのが可笑しい。
 メガファウナがクレッセント・シップに衝突しようとしているのを知ったステアが「オー・マイ・スコード」と叫ぶのが面白い。やはり「ちくしょう」とかそういう意味なんだろうか。
 無事帰還したロックパイが「ぼく、一生懸命がんばったんですよ」と訴えると「そうだろう。わかってるよロック」とマッシュナー。親ばかとはいうが年下の恋人を甘やかすのは何ていうのか。
 「ここにG-セルフごと入ったんですか」という呆れ声のアイーダ。「メインエンジンルームなんですよ、位置を考えなさい」というあたりはしっかりお姉さんしていて微笑ましい。
 「父さんと母さんの仕掛けにのってなぞっただけさ」と笑うベルリ。「父と母の?」「こいつのおかげでね!」とG-セルフを示すベルリ。父だけでもなく母だけでもない、両親揃って子を導く主役機だから、主人公も男女ふたりいるのかもしれない。
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