ガンダム30周年でなんか書こうと思ったらもう師走だよ

富野由悠季への愛を告白するBlogです。熱狂的なファン時代は過ぎ、今はちょっと遠くから眺めている感じでしょうか。 『伝説巨神イデオン』で“ゴーチンby小松左京”されたクチです。

『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』について 5/6

 初代『機動戦士ガンダム』は本来は「ダブル主人公もの」だったのではないか、というのは以前書いた。“本来”はアムロと同時にブライトもまた主人公だったのである。
 『逆襲のシャア』は星山・安彦ワールドと切れているだけ、“本来”の構造が際立って表面化している。ブライトの重要性を抜きにして『逆襲のシャア』は成立しない。

 ブライトを要にすれば、アムロ─ブライト─ハサウェイ─クェス─シャア─アムロ……という連環がみえてくる。この連環こそ『逆襲のシャア』の核だったのだろう。連環が各人の物語を繋ぐからである。
 しかし初代ガンダムで脇役にされたのが祟った。“本来”の構造に戻そうにも、ブライトはすでにメインストーリーから外されてしまっているからである。「もうひとりの主人公」たらしめるほど、作品の主筋にからめていないのだ。

 富野ワールドではブライトは主人公たる男だが、いざ映像化するとなると、初代ガンダムからのルックスが邪魔をして脇役にみえてしまう。もちろん、常識人を代表するブライトだからこそ、あのルックスでいいという見かたもある。しかしもう少し何とかならなかったのか、というのが俺の見かただ。
 それはハサウェイにもいえる。ハサウェイのキャラクターデザインはあれでよかったのだろうか。クェスとはあまりにもかけ離れたルックスである。美男子である必要はないが、もう少し何とかならなかったのか。
 ハサウェイは『逆襲のシャア』の後日譚とでもいうべき小説『閃光のハサウェイ』でヒーローをつとめる若者である。
 ブライトやハサウェイのキャラクターデザインは、もう少し主人公格の“華”をもったものにした方がよかった気がするのだ。富野ワールドとルックスとの食い違いを一番感じる箇所だ。

 『逆襲のシャア』は一本の映画として観た場合わかりづらい。続編映画という要素のせいもある。しかしそれだけではない。各人の物語がバラバラなのだ。「とっ散らかった」印象がある。
 それは連環が機能しなかったからではないか、というのが俺の感想だ。
 連環が機能するには、ブライトという要は弱すぎたのだと思う。キャラクターに“華”がなく、一本の映画とした場合、「もうひとりの主人公」にみえないのである。

 初代にみられた富野ワールドと星山・安彦ワールドとの齟齬が生んだ「失敗」だったのだろう。
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コメント

逆襲という作品については

 とにかく複合的な意味合いが多かったという感じですね。

 初代の続編であり、『Z』の続編兼リメイクでもあり、そして何よりも増して単独の作品でもある。


 『Z』も初期は実に散漫であるが、ホンコン編以降はカミーユが急速に求心力を身に付けたため、彼一人の個人的な遍歴物語として確立された観もある。

 (そしてそこではシャアもアムロも新キャラたちと同等の「カミーユと関わった人間」の一人一人でしかなくなる。)


 逆襲においてそこにおいて位置するのは当然にクェスなわけだが、彼女は「女性」である事も手伝ってか求心力足り得ない。

 つまり中心部分が不安定なままなのだが、実はそれこそが富野監督の意図的な物でなかったかと思えるのもまたポイントで。

Re: 逆襲という作品については

 コメント、ありがとうございます。

>  とにかく複合的な意味合いが多かったという感じですね。

>  初代の続編であり、『Z』の続編兼リメイクでもあり、そして何よりも増して単独の作品でもある。

 なるほど、納得です。同時に、企画の段階で無茶だったんだな、と思います。
 続編映画と単独映画は両立させることもできますが、『逆襲のシャア』の場合は難しかったんでしょうね。その点ではうまくいってないな、と感じます。
 『Ζ』のリメイクというのは、何でそんなことをしようとしたのか、よくわかりません。

 作品にひとつのフォルムを与えるのはブライトの役目だった、と思っています。
 ミライ親子が、「生活者」「地球に残された人」の代表者として描かれる以上、ブライトはストーリーの根幹にいましたから。
 またハサウェイを通して、クェスを主人公とするサブプロットにも関連ができる。むろんメインの主人公アムロは戦友だしシャアと旧知の仲である。
 ブライトがもう少し主人公してくれていたらな、と俺などは考えてしまいます。

Zの初期タイトルが

 既に「逆襲のシャア」だった事も源流にありそうですよね。

 『Z』でカミーユが「単独主人公」として一本立ちしてしまった事もあって、「シャア主導」のドラマを改めて再構築した観もありそうですが。

Re: Zの初期タイトルが

 コメント、ありがとうございます。

>  『Z』でカミーユが「単独主人公」として一本立ちしてしまった事もあって、「シャア主導」のドラマを改めて再構築した観もありそうですが。

 なるほど。それはそうかもしれませんね。
 俺は最初から『Ζ』には「カミーユの物語」を期待していたので、かえってシャアの存在が邪魔に感じられました。

初期においては

 成長後の初代メンバーの顔見せの要素も強かっただけに、ホンコン編でようやくという感じでしたね。

 いつのまにかシャアやアムロにも劣らぬ「第三極」にまで伸し上がっているのも凄い。

 だからそれが失われた喪失感も大きいわけで。

Re: 初期においては

 コメント、ありがとうございます。

>  だからそれが失われた喪失感も大きいわけで。

 やはりテレビ版のラストは強烈でしたね。「まさか……」ですからね。

永遠のフォウの

 冒頭での「二人が意見を戦わせているのを少し離れて後ろで聞いている」というのが、この「三人」の位置関係を表している感じなんですよね。

 だからこそ逆襲の時期の彼がどうしていたかも気になるわけですが。

Re: 永遠のフォウの

 コメント、ありがとうございます。

 確かに「シャアとアムロ」との距離感は興味深いですね。不用意に出しゃばらないあたりがカミーユの人となりを表していると思います。

>  だからこそ逆襲の時期の彼がどうしていたかも気になるわけですが。

 もしも『逆襲のシャア』にカミーユを登場させるとしたら、彼にふさわしい大舞台を、メインとは別に用意しなければならなかったでしょうね。一騎当千の活躍をするでしょうし。
 『ハイ・ストリーマー』にも出てきませんでしたから、もしかしたら富野の脳内正史では、カミーユは廃人のままなのかもしれませんね。

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Author:shiwasu5
どんな奴か?
自己紹介。最終学歴は専門学校卒。(東京デザイナー学院アニメーション科)
小学時代→遊び時間と授業時間の区別がつかず。
中学時代→校内暴力をのびのびとエンジョイ。
高校時代→管理教育で次々と仲間が退学していくなかなんとか卒業。
浪人時代→二年間、進学/就職浪人をする。
本屋でバイト→本屋潰れる、古本屋でバイト→古本屋潰れる。クラブ通いで某事件を起こし警察に捕まったのもこの頃。
専門学校時代→馬鹿みたいに楽しかったが、周囲の才能に圧倒される。同期に吉田健一や長濵博史がいて、三人でつるんで歩いたこともある。やつらと較べた俺が間違いだった。
虫プロ入社。最低限の固定給が約束されているいい会社でした。『うしろの正面だあれ』の生活描写についていけず退社。絵が下手なのを実感。
バイト時代→バイトしながら漫画家を目指す。気に入ったコンテが描けず挫折。
デザイン系の会社のバイトから正社員へ。
現在は鬱(双極性障害)のため地獄を彷徨う。彼女と別れる。誰か背中抱いていてくれ。

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・アニメ五選(TVシリーズは除く)
『白い牙』
『機動戦士ガンダムF91』
『AIR』
『もののけ姫』
『アリオン』
・漫画五選
『メトロポリス』
『がんばれ元気』
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・小説五選
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『剣』
・映画五選
『ブレイブハート』
『ダークシティ』
『夜の大捜査線』
『用心棒』
『イージー・ライダー』
・音楽はわかりません。
世代的にいえば
サザン、YMO、尾崎、マイケル・ジャクソン、U2あたりが直撃です。
クリス・レアとかビリー・ジョエルとかも好きでした。(英語歌詞わからんけど)
・政治傾向
公武合体、天皇機関説、大きな政府、死刑廃止論者。
・女性の好み
シャアにとってのララァみたいな。
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元気くんのお父さん。
・富野由悠季の好きなところ
一生懸命なところ。

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