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ガンダム30周年でなんか書こうと思ったらもう師走だよ

富野由悠季への愛を告白するBlogです。熱狂的なファン時代は過ぎ、今はちょっと遠くから眺めている感じでしょうか。 『伝説巨神イデオン』で“ゴーチンby小松左京”されたクチです。

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『機動戦士Ζガンダム A New Translation』について 2/4 ニュータイプがもっていたビルドゥングスロマンの可能性と挫折

 『新訳』は「疲弊期」の作品ではない。しかし「疲弊期」のテレビ版とすり合わせがないため、不可解な作品になってしまった。

 『新訳』は「カミーユが精神崩壊に至らないためのラスト」から逆算して作られたのではないだろうか。ロザミア・バダムのエピソードのオミットはその典型だろう。
 テレビ版『Ζ』を「カミーユの悲劇」として楽しんできた俺には諸手を挙げて絶賛することはできない作品だ。悲劇の連続を体験したカミーユだからこそパプテマス・シロッコを討ち取れたはずからだ。

 おおまかなストーリーはテレビ版と同じものであり、主要登場人物たちが次々と死んでいく展開は、カミーユに深刻なトラウマに与えていき、彼の性格が温厚に改変されとはゆえ、ラストを変えるほどのストレスの軽減になったと思えない。「いまの富野」と「むかしの富野」のすり合わせができていない。

 突如現れる幽体なども「富野の自己模倣」という観点がなければ理解不能だろう。ここも「疲弊期」の「むかし富野」とのすり合わせができないがために不可解になった場面である。
 カミーユの愛機Ζガンダムのバイオセンサーが幽体の登場に一役買っているというのもわかりづらい。バイオセンサーの活躍がそれまで描かれなかっただけに唐突感は否めない。

 シロッコもまた「悪役」としてわかりづらい。彼は本来は政治級の物語の登場人物で、戦術級の戦いに参加するのは(シャアと同じく)、作品のご都合主義でしかないだろう。カミーユが彼を否定するほどの動機がわかりづらいのはそのためだと思っている。

 アニメ様がアムロは大人になるのではなくニュータイプになってしまって残念だという趣旨の記事を書いてらっしゃったが、「通俗的な意味でのビルドゥングスロマン」の否定は、初代『機動戦士ガンダム』の核心である。ニュータイプというイディアルな人類像を期待できるからこそ「本来的な意味でのビルドゥングスロマン」に近づくからだ。

 それを否定したのがテレビ版『Ζ』であった。アムロもシャアもイディアルな人類像の嚆矢になれず、ニュータイプのちからを最大限に活用したカミーユは精神崩壊を起こす。
 カミーユの精神崩壊は、初代の文脈におけるニュータイプ観の破壊であったのだ。カミーユ以後はニュータイプは戦う道具に成りさがるのである。

 ニュータイプの理念が復活するのは『機動戦士ガンダムF91』まで待たなければならなかった。
 しかし戦争のない世界をつくれなかったシーブックとセシリーなら、かれらもまた挫折したといっていいだろう。

 富野ガンダム最後の宇宙世紀もの『機動戦士Vガンダム』に至って、ニュータイプはサイキッカーと呼ばれるようになり、完全に世俗化されて、その理念を捨てることになる。

 だからこそ『新訳』のラストは不可解である。「むかしの富野」と“格闘”しなかったゆえの安直なラストである。
 ましてそれが俺のお気に入りの『F91』の自己模倣なのだから、不愉快なのである。
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コメント

旧作の場合は

「時代の苦しみ」の中に飛び込んでしまった、カミーユが思い切り自ら苦しみもがく事で「時代」その物と「一体化」して行く事に最大の眼目があった感じですよね。

彼一人がレギュラーだった事を考えても、ここまで一人に集約された例は無いわけで。

あくまで結果的にそうなったのかもが、それだからこそ新訳には一種の「距離感」を感じてしまったくらいですが。

Re: 旧作の場合は

 コメント、ありがとうございます。
 
 「時代の苦しみ」というのは面白い表現ですね。

 カミーユはニュータイプとしての能力と、その性格から、「感じすぎる」んですね。

 「感じすぎる」というのは当事者意識が強くなりすぎて、「時代の苦しみ」すべてを背負う危険があって、そんな重圧に耐えられる人間なんていませんよね。狂っていくしかない。

 適度に傍観者としての節度をもたないといけない、という点で、『新訳』の「距離感」というのは意図的だったと思います。

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Author:shiwasu5
どんな奴か?
自己紹介。最終学歴は専門学校卒。(東京デザイナー学院アニメーション科)
小学時代→遊び時間と授業時間の区別がつかず。
中学時代→校内暴力をのびのびとエンジョイ。
高校時代→管理教育で次々と仲間が退学していくなかなんとか卒業。
浪人時代→二年間、進学/就職浪人をする。
本屋でバイト→本屋潰れる、古本屋でバイト→古本屋潰れる。クラブ通いで某事件を起こし警察に捕まったのもこの頃。
専門学校時代→馬鹿みたいに楽しかったが、周囲の才能に圧倒される。同期に吉田健一や長濵博史がいて、三人でつるんで歩いたこともある。やつらと較べた俺が間違いだった。
虫プロ入社。最低限の固定給が約束されているいい会社でした。『うしろの正面だあれ』の生活描写についていけず退社。絵が下手なのを実感。
バイト時代→バイトしながら漫画家を目指す。気に入ったコンテが描けず挫折。
デザイン系の会社のバイトから正社員へ。
現在は鬱(双極性障害)のため地獄を彷徨う。彼女と別れる。誰か背中抱いていてくれ。

好みの傾向
・アニメ五選(TVシリーズは除く)
『白い牙』
『機動戦士ガンダムF91』
『AIR』
『もののけ姫』
『アリオン』
・漫画五選
『メトロポリス』
『がんばれ元気』
『デビルマン』
『GANTZ』
『天然コケッコー』
・小説五選
『砂の惑星』
『狼の紋章』
『逃れの街』
『ながい坂』
『剣』
・映画五選
『ブレイブハート』
『ダークシティ』
『夜の大捜査線』
『用心棒』
『イージー・ライダー』
・音楽はわかりません。
世代的にいえば
サザン、YMO、尾崎、マイケル・ジャクソン、U2あたりが直撃です。
クリス・レアとかビリー・ジョエルとかも好きでした。(英語歌詞わからんけど)
・政治傾向
公武合体、天皇機関説、大きな政府、死刑廃止論者。
・女性の好み
シャアにとってのララァみたいな。
・男性の好み
元気くんのお父さん。
・富野由悠季の好きなところ
一生懸命なところ。

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